年金のことをどれだけご存じでしょうか。60歳になったら国からもらえる給付金のことでしょ。というのは少し古い知識ですね。まず年金には、老齢に達した人に支払われる「老齢年金」、障害状態になった人に支払われる「障害年金」、亡くなった人の遺族に支払われる「遺族年金」の3種類があります。この内老齢年金は、男性が2025年、女性が2030年で完全に65歳以上にならないともらえなくなります。
ここでの「企業型確定拠出年金(企業型DC)」は「老齢年金」とは別のものです。
■目次
1.会社にお勤めの方の「企業型確定拠出年金」とは
2.企業型確定拠出年金と退職金の違い
3.一体いくらもらえるのか、今どれくらい貯まっているのかを知りたい
■1.会社にお勤めの方の「企業型確定拠出年金」とは
会社にお勤めの方の場合「老齢年金」は、加入している「厚生年金」から「老齢基礎年金と老齢厚生年金」として拠出されます。単に年金というと、これらのことを指します。
一方、会社を退職したときにもらえる、退職金「退職一時金」は現在では姿を変え、「企業型確定給付年金(DB)」もしくは「企業型確定拠出年金(DC)」となっています。語頭に企業型と付いているのは、これに対して個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)があるからです。iDeCoについてはまた別の機会に説明したいと思います。
「企業型確定給付年金(DB)」というのは予め会社から給付される額が決められたものです。一方「企業型確定拠出年金(DC)」は会社が拠出する掛け金が決まっており、その運用によって給付額は上下するというものです。DCを選択している企業が多く、しかも65歳にならないと給付されないので、ご自分の給付額(実際には現在の運用額)を把握しておき、老後の心配がないように準備をしましょう。
DBからDCへ変わった経緯は、様々なサイトで説明がされています。DC制度は会社が拠出したお金を、自分が選んだ金融商品で運用しなければならないことだけ覚えておきましょう。
■2.企業型確定拠出年金と退職金の違い
年金と聞くと老齢年金と混同しそうですが、ここでしっかり整理をしましょう。
一般的に年金というと「老齢年金」を指します。会社員であれば「老齢厚生年金」になり、65歳になるともらえます。
一方「企業型確定拠出年金」は、定年退職年齢(一般的に60歳)になれば、一時金として受け取るか、年金として定期的に受け取るかを選択できます。一時金として受け取れば「退職一時金」の扱いになり、これが一般的に退職金と理解されているものです。一時金か年金かの有利な選択法は人や条件によって変わりますので、ここでは割愛します。
年金「老齢厚生年金」、退職金「企業型確定拠出年金(DC)の一時金受取り」は給付前でもある程度の試算はできます。お勤めの会社で案内をしてもらい、早めに調べ方を身につけておきましょう。
■3.一体いくらもらえるのか、今どれくらい貯まっているのかを知りたい
企業型確定拠出年金(DC)の運用金額を調べる方法です。
お勤めの会社により方法は異なります。ここでは一般的な仕組み、流れを説明します。
お勤めの会社の拠出金を、資産管理業務を請け負っている信託銀行(「資産管理機関」の一例として)に預け、従業員が自ら選択した金融商品で運用を行います。運用は選択した金融商品ごとにその金融商品を発売した会社(「商品提供 業務/運用 機関」)が行います。
記録管理に係るシステム開発に膨大なコストを要することから、多くの運営管理機関では、金融機関等によって共同設立された専門会社に記録関連業務を再委託しています。この、記録管理業務に特化した運営管理機関のことを「記録関連運営管理機関(記録管理機関)」といい、俗にレコード・キーパー(RK: Record Keeper)と称されます。
以下は読まなくても結構です
記録関連運営管理機関は、①加入者等に関する事項の記録・保存および通知 ②加入者等が行った運用の指図の取りまとめおよびその内容の通知等 ③給付を受ける権利の裁定、を実施する役割を担います(DC法第2条第7項第1号)。
なお記録関連業務を取り扱う運営管理機関は、下記4社のみです。(2020年11月時点)
・日本レコード・キーピング・ネットワーク株式会社(NRK)
・日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社(JIS&T)
・損保ジャパンDC証券株式会社
・SBIベネフィット・システムズ株式会社
前者2社で約80%の加入者がいます。
▷日本レコード・キーピング・ネットワーク株式会社 (nrkn.co.jp)
▷確定拠出年金インターネットサービス (jis-t.ne.jp)
一般的には、レコード・キーパーに問い合わせなくても、受託している信託銀行(資産管理機関)のWebサイトなどで確認することができます。
■企業年金制度 解説
■企業型DC 運用管理画面例
企業型確定拠出年金:三菱UFJ信託銀行(旧DCJ) (mufg.jp)
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